健康という言葉の裏に潜む「未病」の存在

健康の定義って?

最近は健康志向が高まりつつあり、体に良いとされる食品やサプリなどが次々とテレビや雑誌、SNS等で紹介されては、ブームとなって広まっていきます。

世の中では「健康」という言葉が溢れかえっていますが、そもそも「健康」というと皆さんはどのような状態を想像しますか?

病気ではないこと、が「健康」でしょうか。

WHO(世界保健機構)憲章では、次のように定義しています、

「健康とは、病気でないとか、弱っていないという事ではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」(日本WHO協会訳)

つまり、身体だけではなく、心身共に健やかな状態でなければ「健康」であるとは言えないのです。

健康と病気の狭間「未病」

なんとなくしんどい、朝起きられない

医者に高血圧と診断されたので、塩分を控えた食事をとっている

学校、又は会社へ行きたくない気分だ

上記のような状態の方は、特に何らかの病が発症しているわけではありません。ですが、心身共に健やかであるかどうかと問えば、そうとも言えませんね。このように、病気とも健康とも言えない状態のことを「未病」と呼びます。

 未病には、2通りあります。

〇自覚症状はあるが、検査では異常がない状態

〇自覚症状はないが、検査で異常がみられる状態

現代の生活では、ライフスタイルの変化、食の欧米化、ストレス社会、交通機関等の発達などにより、比較的20代以降の若い世代から既に未病の状態である人が多く存在すると考えられます。未病は、そのまま放っておけば病気へと発展してしまう恐れがあります。その為、未病の段階から、何らかの対策をとり、病気を未然に阻止していかなければいけません。

発見されにくいグレーゾーン

ではどのように対策をしていけばよいのか。

例えば、自覚症状がなくても、検査結果で明らかな異常が出ていれば、数値が目に見えるので分かりやすいですね。医者の指示に従い、生活習慣の改善や投薬をすれば、いずれ数値は改善し、病気のリスクを格段に減らすことが出来ます。

問題は、症状があるのに検査結果に反映されない場合です。

検査で異常なしと診断されれば、医者はそれ以上の対策を取ることが出来ません。勘違い、考えすぎ、気の持ちよう。そういった言葉で処理されてしまうこともあります。こういった場合、未病は見落とされてしまう可能性があるのです。

 また、年に1回の健康診断を受けているので大丈夫。そう過信するのも危険です。

身体の状態というのは常に動いています。健康か、病気かという白か黒かではなく、未病は病気へ向かって進んでいるグレーの状態であることを忘れないでください。それが突然、黒になることもあり得るのです。

身体のサインへの気付きが病気から身を守る

上記のような発見されにくい「未病」には、自分自身で、身体の声に気付くしかありません。20代、30代では多くの方が、表向きは元気に働いて生活されていることと思います。ですが、頭痛が酷い、なんだか眠れない、疲れやすい...そう悩んでいる方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。忙しさの中では埋もれてしまう軽い症状でも、それが小さなSOSであると、あなただけは、見落とさないで頂きたいのです。

いつもと違うなと感じたときには、まずは自身の生活を振り返ってみてください。不規則な生活だったり、過度な残業、ストレス、暴飲暴食、運動不足、など何らかの原因が見えてこないでしょうか。

未病のうちに問題を解消するためにも、日ごろから身体に耳を傾け、食事や運動、睡眠、ストレスには気を付けるようにしましょう。

肉体的、精神的、社会的に良好な状態(=健康)を保つことが、今私達に求められている「健康管理」なのです。